ねこ
夜、一緒に住んでいる皆と散歩にいった。
月が鱗雲にかくれてる。
久しぶりに暑い日で、夜風がとても気持ちいい。
皆の歩き方をみると、それぞれちがう。
足あげるときに重そうな人。
手がずっとひらひら動く人。
たまに手と足一緒に出てる人。
ランニングチームと2つに別れて、気の向くままにブラブラ歩く。
すると、突然!「ナァーーオ」とでかい声を上げながら弾丸のようにゴマダラ模様の猫が突っ込んできた。
私たちの群れに突入し、魚のようにビチビチと跳ねて頭突きしてくる。
なでてほしいようだ。
その後、ゴマダラはひたすら小走りについてきた。
買い物のため店に入ると電柱の影に座って待つ。
そして出て来るとついてくる。
なんだか、ドラクエの、出会っただけでいきなりパーティーに入ってくる村人のようだ。
明らかに縄張りを外れているのにずっとついてくる。
いや、縄張りを外れてしまったからついてくるしかないのか。
まさか家までは来んやろう。そう決め込み、家に続くとんでもない上り坂を登り始める。
いや、上り坂ではない。崖だ。
暗くて表情がよく見えないが、ゴマダラの顔が真っ青になっている気がする。
ゴマダラは歩幅が小さい。
だから、ついてくるためには私たちの2倍速ぐらいで足をしゃかしゃか動かさなければならない。
ゴマダラは、必死だ。ついてきている。
そうまでして何故ついてくるんだろう
別についてきたっていいことがあるとは限らないじゃないか。
もう、さっきのように鳴く余裕はない。完全に口呼吸になっている。
ゴマダラ…
よくみたらゴマダラは若干ガニ股だ。
猫も、歩き方違うんだなあ。
そして、結局ゴマダラはうちまでついてきましたとさ。