サバニ
先日のこと。
関わっていたサバニ再生プロジェクトの進水式が密かに行われた。
サバニとはこれである。
ここで再生プロジェクトの話を書き出すととんでもないことになる(まじで。)ので、進水式のことだけを書こうと思う。
サバニにはトゥブー(飛び魚)が描かれている。
初めは沖縄近海のサメにしようと言う話になり、「ホオジロザメなんかどうだ」ということになったんやけど、どうも調べていくうちに顔が凶悪だということに気付いた。
そこで、ホオジロザメではないものを探していくうちにふと飛び魚の写真をみた。
羽を広げて海面を滑空している。
飛び魚は、とてもきれいだった。
それに、サバニにとってもはまる予感がした。
飛び魚の中でも、沖縄近海に6月頃現れるもの。
そうして選ばれたのが「オオナツメトビ」という飛び魚だ。
目がでっかく、ぴったりだった。
サバニには下書きをし、ラッカー塗料を使って書き上げた。
完成まで、大変な時間だった。
トゥブーに生命を吸われてるような感じだった。
皆、ぐったりしていた。
一度失敗して消したこともあるかもしれない。
ラッカーは、とてつもなく臭かった。
シンナー臭というやつだ。
マスキングやビニールなど、たくさんのゴミもでた。
絵を書くのに、こんなに犠牲がうまれるなんて。
なにか、変な気がする。
完成まで、たくさんの時間と、人と、道具を使い、トゥブーはサバニにうまれた。
そこには、喜びや楽しさだけでは決してなかった。
言葉には言い表せない、たくさんの感覚や経験、その空気。時間。
だからこそ、トゥブーは生きていると思う。
そこにあるものが全てではない。
と、トゥブーに教えてもらった気がする。